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縦断連載について [ポケモン・ポケスペ]

 500話無料で読めるようになったポケスペですが、縦断連載という特殊な連載形式をとっていたるため、単行本と雑誌では、読んだときの印象が全く変わってきます。そんな縦断連載について、少し長文ですがまとめました。

 今でこそ1章1媒体連載ですが、かつては1章3誌連載で、学年誌3誌で同じ章なのにそれぞれ違う話が進み、それらが単行本で1つになり収録されていました。
 だから、兄弟や学年違いの友達がいないと1誌だけしか読むことができず、話が飛び飛びになります。そのため、知らない間に仲間が増えていたり進化したりしているなんて日常茶飯事でした。でも、飛び飛びであっても、しっかりと違和感なく話がつながる構成になっています。

 1誌だけでも違和感のない構成なのに、それが3誌集まって単行本で1つに再構築されます。この単行本ですが、「単に雑誌×3を並び替えたもの」に留まりません。例えるなら、3つの螺旋が絡まり合ってより高みに昇華される、そんなイメージです。
 というのも、実はもともと1本だった話を3分割して3誌掲載しているので、単行本では本来の構成で読むことができるのです。つまり、本来の並びとなった単行本は、雑誌×3を遥かに上回る完成度を誇ります。

 そんな特殊な連載形態(以下「縦断連載」)をとっているポケスペですが、この縦断連載が最大限活かされた章が第四章です。第四章では、ルビーが主役のルートとサファイアが主役のルートが、それぞれ雑誌を分けて連載されました。ルビーとサファイアは競争しているが、お互い相手の進行具合は分からない、旅先で再開したときに相手の状態が分かる、この視点を読者に体験させることに成功しています。つまり、相手の進行具合がわからない=他誌連載の内容が分からない、旅先で再開=単行本化という視点です。

 この主人公によって連載誌を分けるという手法は、第二章のスオウ島における組分けで初めて用いられました。このときは、イエロー組、グリーン組、ブルー組とマサキ組の話がそれぞれ別雑誌で展開されました。
 また、第七章でも、ギンガ爆弾による湖爆破を阻止するため、ダイヤモンド・パール・プラチナが別行動をとることに合わせ、彼らの行動はそれぞれ別雑誌にて連載されています。
 他には、第九章で、コロコロイチバン!(以下「コロイチ」)はゴールドルート、小学四年生はシルバールートとなっています。

 さて、このようなポケスペの特徴である縦断連載ですが、学年誌休刊の影響を受け変化が生じます。マイナーチェンジ版(第六章、第八章)やリメイク作品(第五章)の章では、縦断連載ではなく1誌連載の形態が取られることもありましたが、新作章でも1誌連載に移っていきます。
 原因は、ポケモンファン(以下「ポケファン」)という不定期刊行雑誌に連載が移行したことです。不定期刊行であるため、ストーリーを継続して展開しにくくなってしまったと考えられます。同じく移行先であるコロイチは定期刊行であるため、どうしてもコロイチが主で、ポケファンが従という扱いになってしまいます。事実、第十章、第十二章でのポケファン掲載話を見ると、コロイチの話の間を埋める単発の話ばかりです。

 そして、2015年にWEB連載が開始されたことにより、ポケファンでの連載が休止し、ついに縦断連載が終わりを迎えます。以降、1章1媒体連載となり、第十四章にいたっても新作章にもかかわらず、コロイチのみでの連載となっています。
 ここで、近年、ゲームの発売間隔が短くなり、特に第九章以降は、ゲーム発売に連載が追いつかないことが常態化していることも加味したいと思います。この常態化も、本を正せば学年誌休止の余波からですが、縦断連載に歯止めに拍車をかけた要因だと考えます。旬の作品を今連載するために、同じ章をいくつもの媒体で連載することが難しくなっていると思われます。

 以上がポケスペ縦断連載の歴史です。ポケスペ独特の縦断連載は、ストーリーの展開に合わせ、その特色を十分に発揮させられることもありましたが、学年誌休刊の影響を受け、終わりを迎えました。
 今後は、ゲームの発売間隔短縮の影響ありも、1章1媒体連載が続くと考えます。
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