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縦断連載について その2 [ポケモン・ポケスペ]

 縦断連載のメリット、デメリットについて考えたいと思います。

 まず、内容構成的なメリットとして、複数の視点を同時進行で描くことができる点が挙げられます。この点はさらに二方向の利点を追求できます。一つは、同時刻に別の場所で起きた出来事を同時に描くことができる点です。前述の例では、第二章の組分け等が該当しますが、同月に複数の雑誌で連載=「同時刻に別の場所で」をメタ的に再現することができるのです。

 もう一つは、複数の主人公の活躍をある程度偏りなく描写できることです。第四章のルビーとサファイアのクロスオーバーストーリーがまさに当てはまります。1誌連載では、物語に一貫性を持たせるため、どうしても1人の主人公に主役を絞った展開になってしまいます。ゲーム第三世代以降は、男女両方の主人公が選べるようになったため、男の子と女の子両方の図鑑所有者を活躍させる必要が出てきました。その意味でも第四章の縦断連載は、ゲーム要素に満たす連載方法として十二分に活かされています。
 しかし、縦断連載が維持できなくなってきた第十章では、ブラック主体で話が進みます。途中、ホワイトと別行動になった際も、ポケファンでホワイトの話が掲載されましたが、サイドストーリー扱いが否めません。第十四章でも、サンがメインでストーリーが展開されています。これはやはり、コロイチが男児向け雑誌であるためでしょうか。

 反対に、内容構成的なデメリットとしては、縦断連載している各雑誌ごとに違和感なく話を展開させる必要があり、矛盾なく話を切ってつなげる労力を要します。また、単行本化の際の再構築に、本来の流れに合うような描き直しが必要となり手間がかかります。

 次に、縦断連載の特徴として、1誌だけを追っていたのでは他誌の内容が分からないという性質があります。これはメリットにもデメリットにもなります。
 まず読者側のメリットとして、他雑誌を読んでいる兄弟や友達との交流が育まれることにあります。自分の知らない話を相手から聞く、自分の読んだ内容を相手に話して盛り上がる、連載誌の貸し借りをする。そんな学年を超えた交流につながります。加えて、複数誌の内容を知った上で、それが単行本でどのように並ぶのか、順番を想像する楽しさも味わえます。
 また、単行本には自分の知らない話が載っているので、雑誌を買っていても単行本を読む楽しみが減ることはありません。逆に、雑誌とはまた違った印象を楽しむことができ、さらに本来の完成された筋道で読むことができるので、単行本を読む楽しみは大きく膨らみます。これは、小学館側にとっても、雑誌だけの購入で終わらず、単行本も買ってもらえるというメリットに繋がります。

 反対に読者側のデメリットとしては、1誌だけでは完結できないため、複数誌または単行本の購入が必要であり、お金がかかる点です。特に複数誌購入は、読者である小学生のお小遣いでは難しく、親が買い与えるにしても自学年の学年誌しか通常は買いません。そのため、読めない学年誌は、書店での立ち読みにつながります。
 また、連載誌が多いため、連載を追うことに疲れ、読むことを諦めてしまう。あるいは、1誌だけでは完結できないなら、そもそも手を付けたくないと考える人もいるでしょう。
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